一番最初に見た時に、とても懐かしい風景に出会った気がした。あとからわかったのは、このトトロの背景は、狭山丘陵をモデルにしているということ。
母方の実家は、狭山丘陵の中にあった。所沢球場から近い場所にあったが、昔は、祖父母の家は、小さな山に囲まれていた。
母と遊びに行くと、祖母がやっていた畑に連れて行ってくれ、その季節ごとになっている、茄子やきゅうり、トマトやかぼちゃ、みょうがを、一緒に収穫して、お土産に持たせてくれた。
また、夏休みで従兄妹が集まると、山につるさがっていた、太いつたでターザンごっこをしたり、ザリガニやおたまじゃくしを獲って遊んだ。
夏の夕暮れは、ひぐらしが鳴いて、暑い一日が終わったことを教えてくれた。
道路はもちろん、舗装されていない砂利道。駅からタクシーに乗って行く事もあったが、小学校の3年ぐらいになってからは、母が昔通学路として通っていた、山道を歩いて、祖父母の家に行った事もあった。自分が小学生の頃に通っていた道を、小学生の娘を連れて歩くのは、母にとっては感無量な出来事だったに違いない。
でも、私にとっては、未知の世界すぎて、怖かった。歩いていると、イマジネーションがふくらんで、ほんとうにトトロのようなものが出てきてしまうんじゃないかと、半べそかきながら歩いたこともあった。
2回ほど、黒と黄色の縞のヘビに遭遇し、一度はかえるを呑み込んでいる最中の時もあった。貴重な体験といえば、それまでだが、私にとっては一番怖れていた光景だった。
でも、そんな里山にも、開発の手が進み、いつしか山が崩され、みごとにマンション群の山に変貌してしまった。開発後初めて祖父母の家を訪れた時は、まるで別の場所のようで、豊かな場所が消えてしまったことが、とても残念でならなかった。もう、いくら戻そうとしても、戻らない・・・・・
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