2008-11-11

愛は多くの罪をおおう



先週の木曜あたりから、胃の調子が思わしくなく、2、3日おとなしくしていれば良くなるだろうと思ったが、なかなかよくならず、昨日はちゃんと近くの医者に行って、処方箋の薬をいただいてきた。おかげで昨晩は5日ぶりに、胃痛に悩まされず、ぐっすり寝る事ができた。

おそらく胃痛の原因は、旅の疲れが出たところに、本場のお土産キムチの刺激が強すぎで、胃が荒れてしまったのだと思われる。「痛みが続くようであれば、胃カメラを飲みましょう。」とお医者さんに言われたが、私の人生の目標の中の一つには、「絶対胃カメラは飲まない」というのがあるので、ちゃんと薬を飲み、胃が癒されることを祈っている。

韓国への旅の話しが来た時に、ぜひ訪れたい教会があった。韓国に一年間英語の教師として住んでいた主人も、ぜひ行ったらいいと言ってくれた場所で、ソウルからバスで2時間ほどのスウォン市にある堤岩里(チアムリ)教会。ここは1919年4月15日に日本軍による韓国人虐殺が行なわれた場所。 第一次世界大戦後の民族自決の潮流の中、日本に併合されて10年が経とうとしていた韓国でも民衆の独立運動が起こってきた。これが三・一独立運動で、ソウルのパゴダ公園で1919年3月1日に独立宣言が発表されて以降、韓国各地で独立を叫んで反日抵抗運動が展開された。 

堤岩里でもこの独立運動が行なわれ日本軍により弾圧された。そして4月15日、先般の弾圧がひどすぎたことを謝罪したいという名目で日本軍が村人を堤岩里教会に集め、入口や窓を封鎖した上で教会の建物に火を放ち、23人をだまし打ちにして焼き殺してしまった場所だ。この地域では、12箇所ほど同じような事が起こったそうだ。 

2日目の午後に行く予定にしていたが、昼間の予定に急な変更があったので、夕方になってようやく行くことになった。ちょうどラッシュアワーと重なり、堤岩里に行く最終バスの乗り継ぎに間に合うかどうか心配があったが、とにかく行ける所まで行ってみようということになった。

幸いにも、バスの時間に間に合い、9時ぐらいになってしまったが、無事堤岩里教会に着いた。そこには殉国記念館もあるのだが、もちろんその中には入れなかった。幸い、教会堂のドアが開いていたので、中に入って祈る事ができた。暗い教会堂の中、神様の前で、日本軍がここでした残虐な行為や日本の言葉や文化を無理に韓国人に強要したことを赦してくださるように祈った。そして、一緒に行った韓国人の友人にも、日本人のしたことを赦してほしいと謝罪し、彼女も日本人を赦しますと言ってくれた。また、韓国人が日本人をなかなか赦せない心を赦して欲しいと言われた。私も赦した。そして二人とも涙で顔がぐちゃぐちゃだったが、ハグをした。

小さな行為かもしれないが、無駄な行為ではないと信じたい。

前日の10月31日、韓国に着いた夜、友達の友達3人も夜遅くなのに、歓迎するために集まってくれて、皆クリスチャンだったので祈りの時を持った。その時も、私は祈りの中で過去に日本のした事を赦してくださいと、自然と神様に祈った。それを聞いた韓国人の人達が、「日本人のことは親から悪い人達だと聞かされて育ってきたけど、こういう風に謝ってくれる人がいてくれて嬉しい。日本人が赦してくださいと言っているのに、赦せていない私達をもどうか赦してください。他の人達にも今晩の事を話していきたい。」と言われた。今まで縛られていたものから解放された感じがした。

勿論、戦争はどの国も被害者となり、加害者にもなっていると私は思う。でも、加害者としてやってしまったことは、うやむやにするのではなく、ちゃんと反省して謝らないと、問題の解決は難しいと、主人ともいつも話している。ドイツはナチスがユダヤ人にした残虐な行為に対して徹底的に向き合い、反省し、謝罪した。そして前に進んでいる。

日本に戻ってきて、今問題になっている田母神氏の日本は侵略国家ではないという論文が出たというニュースが10月31日にされたことを知った。不思議な感じがした。

堤岩里教会で祈ったあと、教会堂の隣にある、牧師の家に明かりが着いていたので、ご挨拶とトイレを借りるために訪ねた。夜遅くにも関わらず、来た理由を説明したら、カン牧師はとても喜んでくださり、「電気をつけるからぜひ教会堂を見て行ってください。」と言ってくださった。そして、もう一度今度は明るい中で教会堂を見る事ができた。

前にある大きな十字架は、横の棒が腕のように湾曲していて、カン牧師がこの十字架は、お互いを愛をもって抱きあうことを象徴してこのように作られたと説明してくださった。そして、現在は日本人の人達もこの教会に通い、一緒に礼拝をしているということを話してくださった。

そして、記念に写真を撮らせてもらい、トイレをお借りしてから、歩いてバス亭まで行こうとしたら、車でバス停まで送ってくださると言ってくださった。愛を感じた。

聖書の中にこういうことばがあるのを思い出した・・・・

「互いに忍び合い、だれかがほかの人に不満を抱くことがあっても、互いに赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように、あなたがたもそうしなさい。そして、これらすべての上に、愛を着けなさい。愛は結びの帯として完全なものです。」

「何よりもまず、互いに熱心に愛し合いなさい。愛は多くの罪をおおうからです。」 

「また、ご主人と一緒にぜひ訪ねて来て下さいね。」とカン牧師が言ってくださった。今回の韓国旅行は、意味あるものとなった。

あー、早く胃が良くなって、残りのお土産キムチが食べたい!

2 件のコメント:

安藤文絵/Fumie Ando さんのコメント...

なんだか、堤岩里教会で祈ったときのことを読んでて胸が熱くなったよ。
行けてほんとうに良かったね。

JOY さんのコメント...

うん。行けてよかった。いつものごとく、予想以上の旅になったよ。また詳しく話すね!