2009-03-06

Legacy




父と母が亡くなって、20年以上経ってしまった。この頃淋しく思うのは、2人の声が思い出せなくなってきている。というか、深いところでは2人の声は残っているのだが、それが表に出てこない。声の思い出が風化してきているのだろうか。

今は、亡くなった歌手の方や、役者の方をテレビでなどで簡単に見る事ができ、不思議な感じもする。両親の健在当時は、まだビデオカメラが今ほど普及していなかったり、テープで声をあえて残すことはしていなかったので、私の場合思い出に頼るしかない。

風化していく思い出もあるが、着実に残っているものはある。高校生になって、初めて近くの小さなスーパーへバイトに行き始めた頃、寡黙な父が言ってくれた、

「Joy,仕事に呑まれずに、呑んでいくぐらいじゃないといけないぞ。」

この言葉は、何十年たっても心に残っていて、今も仕事をする時に、いつも思い出す言葉。


また親戚に合うと、よく

「お母さんに、似てきたわね~。」

と、言われる。顔がそうなのか、仕草とかが似ているのか。兄の中にも父や母の面影を見る。確実に、引き継がれているものがある。

なぜ、声が思い出せなくなったのだろうと考えながら、主人とそのことを話していた時、主人が「もう、いいんだよ」っと、そう優しく言ってくれた。結婚して自分達の新しい家庭ができて、幸せを感じてきてから風化が始まったような気がする。

新しいものが生まれ、古いものが風化していく。でも引き継がれているものもある。それが人の営みというものだろう。

話していたら、夜中お腹が空いてしまった。主人が私の好きなサッポロラーメンの塩味を作ってくれて、食べさせてくれた。新しい家庭がここにある・・・・

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